ワインスクール

gaznak2009-01-11


ワインを飲んで初めて衝撃を受け、心からおいしいと思ったのは、いまから思えば恥ずかしい話だけれども、就職祝いで青山のRadio 3rdで飲んだチリワインのDiabloだった。この店ではいつもカクテルかシングルモルトを飲むのだが、その日お祝いをしてくれた先輩が自分の好きなワインだといって飲ませてくれたのだった。ほどよく冷え、なめらかな飲み口のその液体がワインというのが信じられないほどだった。

それ以降、出張先で飲んだフロッグスリープやアマローネ、バローロなど、数々のワインの出会いがあったが、もっとも自分にとって幸福な出会いだと感じたのがスペインワインだった。これは決定的な一本があったわけではない。スペイン出張中にバルにいっては飲んで、また帰国後もスペインバルがいたく気に入った延長で、都内のスペインバルに何度となくいくようになったとき、いつしかテンプラニージョの味わいが、自分にとって最もなじみのあるワインの風味となっていたのだった。

そんなふうになってから3年がたった。一生スペインワインばかりでも全く問題ない、むしろ、スペインワインといってもその世界は広大であり、それを開拓していく楽しみのほうが多いほどだった。時折、訪れたレストランやワインバーで、フランスワインやカリフォルニアワインなど試みに頼んでみるものの、完全にしっくりくるものがなかったことも、そうしたスペインワイン志向に拍車をかけてきた。

しかし、転機は2008年12月に訪れた。以前から訪れたかったマキシム・ド・パリの赤坂店に行ったときのことだった。こちらは著名なワインを、それこそドンペリニョンから5大シャトー一気飲みまで、グラスワインで提供してくれるところだ。グラスワインリストを確認すると、バローロやリオハがあったため、安心して手を伸ばそうとしたところ、ウェイターが、はじめからだと強すぎるのではと、別のワインをすすめてきた。ボーナスも出たし、年末だしと多少はいいかなと、ウェイターのお勧めグラスワインを試すことにしたこと。これが転機だったように思う。

そこで飲んだワインは、ピュリニー・モンラッシェ、ジュブレ・シャンベルタン、カレラ・ミルズといったワインだったが、ことごとく、テンプラニージョに慣れきった舌に衝撃を与えた。たとえば、モンラッシェが与える、口当たりから一気にドラマティックに押し寄せるスケール感には、体の内からこみあげるように感激をした。カレラ・ミルズのやわらかで重層的な甘い香りと、いつまでも続く甘い余韻には陶酔しきった。

そんな感動の余韻がまだ残る中、年末にワインのネット通販の購入のためいろいろとサイトをめぐっていたときに、ワインスクールの存在を知った。スペインワインは大好きだ。しかし、ワインの世界の奥深さをもっと知りたい。視野を広げたい。そんな気持ちで、多少逡巡を経たものの、ワインスクールに3か月通うこととした。どこまでスペインワイン一辺倒だった世界が広がるか、我ながら楽しみだ。